
今日はブラック企業の典型的特徴を人件費と業態から分析したいと思います!
ブラック企業について
典型的なブラック企業を見極める上で、重要な要素は「人件費」です。
人件費は、起業にとって、最も重要な経費です。
それは、二つの意味でです。
一つ目は、従業員の生活のベースとなるもの、モチベーションになるもの。
つまり、従業員側の事情という意味です。
二つ目は、会社の重い経費となるもの。
つまり、経営者側の事情という意味です。
経営者の人件費に対する意識が高いかどうかが、自社がブラック企業あるいはブラック企業予備軍かを見極めるポイントになります。
ただし、人件費に対する意識が高いとしても、会社の業態によっては、ブラック企業になり得ます。
社長が従業員の給料に配慮しようとしても、業態的にそれが叶わず、ブラック企業になってしまう会社があるんです。
ブラック企業と業態の関係について説明します。
ここでは、多くの中小企業がそうであるように、少数経営で、大手からの仕事を安く請け負っており、量をこなすことで、毎年何とか利益を確保している中小企業を想定します。
いわゆる、薄利多売企業です。
大手に依存し、大手から仕事を得ることで何とか生きながら得ている企業です。
ケース1
まず、社長の人件費に対する意識が低い場合を想定します。
大手からの発注は、低単価の仕事。
売上を増やすため、生産量を増やす。
売上=単価×生産量
当たり前のことですが、「単価」と「生産量」で売上は決まります。
従業員は、生産量(売上)を増やすため、長時間労働し、疲弊し不満が溜まる。
休みなんてもちろんもらえません。生産量を減らすことは、会社の倒産につながりますので。
そこで、経営者に賃上げを要求する。
経営者が拒否する。
従業員が会社を辞める、もしくは倒れる。
他の従業員の業務量が増える。
他の従業員が疲弊し不満が溜まる。
経営者に賃上げを要求する。
経営者が拒否する。
他の従業員も辞めるもしくは倒れる。
会社が回らなくなる。
会社がつぶれる。
中小企業は、少数経営で余剰人員を確保していないところが多いと思います。
そのため、一人でも人員が欠けると、他の従業員の負担が増大し、会社の経営に支障が生じ、最終的に会社がつぶれます。
ケース1は、人件費軽視、薄給、業務量多大など、典型的なブラック企業だと思います。
ケース2
では、社長の人件費に対する意識が高く、仮に賃上げをしたとしたらどうだったでしょう。
従業員は、生産量(売上)を増やすため、長時間労働し、疲弊し不満が溜まる。
経営者に賃上げを要求する。
経営者が応じる。
従業員のモチベーションが上がる
ここまでは、ホワイト企業とまではいかないまでも、ブラック企業ともいえないですね。
ここまでは。
その後
会社の固定費(人件費)が上がる。
利益を出すために、仕事の受注量を増やす。
残業が増え、従業員の不満が溜まる。
賃上げに応じる。
会社の固定費(人件費)が上がる。
利益を出すために、仕事の受注量を増やす。
残業が増え、従業員の不満が溜まる。
従業員が辞めるもしくは倒れる。
他の従業員の業務量が増える
・・・
会社がつぶれる。
ケース1と同じ結果となります。
そうなんです。同じ結果なんです。
ここで重要な点は、
売上ー原価ー経費(人件費などの販売管理費)=利益
だという点です。
利益を出すためには、売上を上げることと、人件費などを下げることのどちらか、またはどちらも必要です。
経営者が従業員思いで、人件費を上げようという意識があっても、薄利多売企業では、人件費を賄うため、売上(生産量)を上げざるを得ません。
その結果、業務量が増大してしまい、ブラック企業化してしまう、ということです。
では、どうする?
では、どうすれば、この流れを止められるのでしょうか。
はっきり言います。
中小企業で薄利多売を選択した時点で、かなり難しいです。
中小企業は、大手ほどの体力もない上に、人員も限られていますので、その方針にした時点で積んでいるケースが多いです。
大手に依存し、生産量で利益を確保し、大手の下でなんとか生きながら得ている状況では、いずれ積みます。
中小企業の選択するべき方針は2つのみです。
1つ目は、独自の技術、特許を持ち、他社に勝ち抜く方針にする。
2つ目は、他社がやらない、市場規模が小さくて、大手も参入しない業種を見つけ、誰とも競合しない所で勝負する方針にする。
前者は、他社と競合しない、あるいは、するとしても他社に勝つことを目指すものです。
他社に勝つ以上、価格を引き上げられます。
高価格にできるのです。
価格を上げても、取引先は応じざるを得ません。
価格を上げれれば、人件費の増加分を価格に転嫁できます。
売上=単価×生産量
このうち、「単価」を上げられるわけです。
生産量の増大がないので、従業員の負担増にはならず、先ほどの事例の問題は起きません。
次に後者は、他社と競合することさえしません。
1社独占です。
大手も参入しません。
大手は市場規模が大きなものにしか参入しません。小さなパイを取りに行くのは、効率が悪いからです。
ただし、大手にとって市場規模が小さくても、中小企業にとっては十分大きな市場はあります。
小さくて、マニアックで、誰も注目していない市場を開拓すること、これこそが中小企業の生き残る道です!
先ほどの事例でいえば、賃上げに応じるために価格を上げても、取引先は応じざるを得ません。
その会社しか頼めるところがないからです。
結果、単価(売上)を上げれますので、人件費も賄えます。
まとめ
これから、中小企業が生き残るには、この2つの方針しかないと思います。
間違っても、価格勝負(薄利多売)で行くべきではありません。
無限ループに入っていずれつぶれます。
もし、薄利多売が現状であるならば、今すぐ方針転換をするべきだと私は思います。
薄利多売ができるのは、体力も人員も十分にある大手企業だけです(牛丼屋など)。
中小企業は独自の価値を探っていくしかありません。
もし、皆様の会社が薄利多売の中小企業であるならば、一度冷静に分析してみることをお勧めします。
もしかしたら、私が想定した事例に近い状況かもしれませんので。
その時、あなたの取るべき選択肢は
- 独自の技術を持つ企業への転職
- 他者と競合しないニッチな業種への転職
- 自己の能力を徹底的に磨き、独立する
の3つです。

私なら、難易度的に3を選択します!